【ジャカルタレター】大統領選控え軍や党を取り込み – SankeiBiz



 インドネシアの2018年は、統一地方首長選の候補者登録から始まった。2月には候補者が確定して選挙運動が幕を切り、6月27日の投開票まで全国171自治体の首長を決める選挙戦が繰り広げられる。特に西ジャワ、中部ジャワ、東ジャワは人口も多く、勝敗が19年の大統領選挙の行方に大きく影響することから注目を浴びている。

 ◆19年に向け内閣改造

 東ジャワ州の知事選に立候補するため、コフィファ氏が社会相を辞任したことを受け、小規模の内閣改造が行われた。ゴルカル党幹事長のイドゥルス・マルハム氏が新たな社会相となり、大統領補佐官はICW(Indonesia Corruption Watch)という汚職撲滅非政府組織(NGO)の活動家だったテテン・マスドゥキ氏から退役軍人のモエルドコ氏に替わった。これにより、閣僚級ポストには、ゴルカル党員が3人、元軍人が4人となった。この内閣改造は、19年に向けた準備だといえる。

 ジョコ・ウィドド(通称・ジョコウィ)大統領は、闘争民主党(PDIP)のメンバーだが、党首はメガワティ元大統領であり、自らが党を率いているわけではない。PDIPとの関係に頼るだけではなく、連立政権の仲間であるゴルカル党との関係を良好にしておくことはPDIPへの牽制(けんせい)ともなり、ゴルカル党の取り込みが重要となってくる。

 また、軍出身ではないジョコウィ大統領にとって、軍との関係は非常に重要であることから、退役軍人を起用し、軍との密な連携を確保したいという狙いがみえる。ゴルカル党、退役軍人という2つの要素を取り込むことは再選に向けて必須であったのだ。この2つの要素に合致しているのが現調整相(海事)であり、“影の大統領”とも言われているルフット・ビンサール・パンジャイタン氏である。彼こそがジョコウィ政権の存続のカギを握っている重要人物である。

 ◆イスラム教徒と共存

 今回の選挙のもう一つのキーワードは、「イスラーム・アイデンティティー」であろう。

 スマトラ島の最西端にあるアチェ州のバンダアチェでイスラム法(シャリア)違反があったとして公開むち打ち刑が1月19日に執行された。これは、非イスラム教徒であるキリスト教徒も違法に酒類を販売した罪で36回の公開むち打ち刑となったことで話題となった。シャリア法が施行されているのは、分離独立運動を経て特別自治州となったアチェ州だけであり、他の州では公開むち打ち刑など一切行われていない。

 インドネシアはイスラム教徒が全人口の88%を占め、世界でイスラム教徒の最も多い国だが、イスラム教が国教となっているわけではなく、他宗教と長く共存してきた寛容なイスラム教徒が多い。しかし、ここ最近、イスラム教徒としてのアイデンティティーが見直され、寛容さが失われつつあることを危惧する言論が目立つ。

 イスラム教徒としてシャリアの施行は歓迎という意見も増えていることも今までにない傾向である。重要人物であるルフット氏はキリスト教徒。イスラーム・アイデンティティーをどれだけ取り込める施策を講じることができるか、首長選挙、そして来年の大統領選挙の行方に注目したい。(笹川平和財団 堀場明子)

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 「ASEAN経済通信」 http://www.fng-net.co.jp/asean_top



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